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今日の中国人は十の階層に色分けすることができる

 

社会学者たちは十の階層に色分けした

 「社会の異なる発展段階には、異なった階層構造が存在するものである。われわれがある社会の発展段階を判断するには、その社会の経済発展のレベル、産業構造から判然することができるばかりでなく、その社会の社会階層の構造から判断してもよい。」2001年の年末に、記者は北京の長安街(北京市を横切る大通り)にある中国社会科学院に赴いて陸学芸教授にインタビューした。インタビューの冒頭、陸教授は上述のことを語った。

 大多数の中国人は「階級」という言葉はよく知っているが、「社会階層」というものはまったく新しい用語である。陸教授は、改革開放以来、中国の社会構造には大きな変化が起こり、もとの「二つの階級、一つの階層」(労働者階級、農民階級と知識人階層)という社会構造は、新しく生まれた、さらに細分化された、より豊かな社会階層を網羅することができなくなったため、われわれは中国の今日の社会階層に対して新たな色分けを行うことが必要になったと語った。

 陸学芸教授を研究課題グループのトップとする中国社会科学院の重要研究プロジェクト――「今日の中国の社会階層に関する研究」という課題は数十人の社会科学者による3年に及ぶ調査研究を経て、ついに2001年の年末に大きな成果を見るに至った。陸教授によると、この研究課題は李鉄映中国共産党中央政治局委員、社会科学院院長に直接委ねられたものである。

 この研究レポートが公表されると、たちどころにその時代精神に富む分析によって広い範囲において注目されることになった。専門家たちは大量の詳細かつ確かな調査データによって、職業の分類を基礎とし、組織資源、経済資源と文化資源の占有状況を基準として、国と社会の管理者階層、経理要員階層、私営企業のオーナー階層、専門技術者階層、事務要員階層、個人経営商工業者階層、商業・サービス業の従業員階層、産業労働者階層、農業勤労者階層、都市と農村の無職・失業・半失業者階層という「十の階層」に色分けした。これらの社会階層はそれぞれ五つの経済社会のグレードに属している。

中国はすでに現代の社会階層構造の基本的な構成部分を備えるに至った

 陸学芸教授によると、ここ20年来、中国社会の各側面には軒並みに変化が起こっているが、そのうちの階層の変化は中国社会の体制転換と経済の軌道転換の最も核心的な内容である。この変化の内訳は、農業勤労者らがたえずその他の社会階層へとシフトし、農業勤労者階層がだんだん縮小しつつあること、商業・サービス業の従業員の人数がいくらか増え、産業労働者の人数は農村の工業化とともに目に見えて増えていること、特に注目しなければならないのは、専門技術者階層、経理階層と私営企業のオーナー階層を主体とする中間階層が大幅に拡充し、それがすでにはっきりとした趨勢となったことであるというものである。

 専門家たちは、長年の改革と変化を経て、特に社会における人々の移動が日ましに公正な競争に左右されるようになり、能力という準則が次第に身分主義の原則にとって代ることになり、中国はすでに現代の社会階層構造の基本的な構成部分を備えるようになったと見ている。

 いわゆる現代社会の社会階層構造とは、学術界ではかなりイメージ化された言い方で、つまり両端が小さく、中間が大きい「オリーブ状」を呈し、大きな社会の中間階層をもっているというのである。ところが、伝統的な社会階層の構造はてっぺんが尖り、底部が広い「ピラミッドの構造」であった。専門家たちは、先進諸国が備えている社会階層がすべて中国にも現れ、これからの中国の社会階層の構造は構成要素の面で大きな変化が生じることはありえず、変化が生じるものは各階層の規模でしかないであろうと見ている。

大きくなるべきものは大きくし、小さくなるべきものは小さくする

 専門家たちの分析によると、中国では現代の社会階層構造の枠組みがすでに形成されたとはいえ、それはなおヒナ型でしかなく、現代の社会階層構造の理想的な状態と運営メカニズムと比べればまだ大きな格差がある。陸学芸教授の言い方によれば、中国の社会構造は依然として「タマネギ状」であるに過ぎず、成熟した「オリーブ状」を形成するに至っていない。真に現代の社会階層構造を備えるには、必ず次ぎの二点、つまり大きくなるべきものは大きくし、小さくなるべきものは小さくするようにしなければならず、とどのつまり社会の中間階層が必ず発展して大きくならなければならない、ということである。

 陸教授は深せん、合肥などいくつかの都市に対する調査のデータを例として、このことについてさらに次のような説明をした。事実によって裏付けられているように、経済が最も発達した深せんの社会構造は最も「オリーブ状」に近い都市であり、中間階層はその他の都市よりはるかに大きい。職業と収入が安定し、消費能力と生産能力もかなり安定した中間階層の成熟は社会の安定と進歩の基盤であり、一つの都市としてもその通りであり、一つの国としてもその通りである。

 陸教授はまたアジア金融危機の期間に韓国とインドネシアの異なったやり方を例としてさらにこの点を裏付け、次のように語った。この危機の中で、韓国は対応能力が最も強く、回復も最も速かった国であり、このことは韓国ですでに形成された極めて大きな社会の中間階層と関係がないと言えない。反対に、インドネシアはいまだにこの危機から抜け出して回復を遂げておらず、これはその他の原因はさておき、インドネシアに成熟した社会の中間階層が存在しないことと関係があると考えている。

 他方では、中国の農業勤労者階層の規模が大き過ぎ、引き続きそれを小さくすべきである。統計によると、1999年の中国の勤労人口全体の中で、農業勤労者は約44%を占めていた。しかし、10年前のイギリスの農業の就業比率はわずか2%しか占めておらず、ドイツとアメリカでは3%、日本では7%を占め、韓国でも17%しか占めなかった。

誰もが自分と対応した階層を探し当てることができる

 陸学芸教授にインタビューする二日前に、記者は社会科学書店で「今日の中国の社会階層に関する研究レポート」という本を買った。この書店の店員によると、この本は入荷して二週間足らずなのに、ほとんど売り切れそうになっている。あるコンピューター会社に勤務している李柯氏も記者の前でこの本を買った。なぜこの本を買おうと思うようになったのかと記者が尋ねたのに対し、「履歴書を書き入れる時に、個人の出自の項目に記入するたびにとまどいを覚え、自分がいったいどの部分の人たちに属するかがはっきりしませんでした。この本は今日の中国人を十の階層をはっきりと色分けしており、とても読むに値するものです」と語った。

 先般、陸学芸教授は今日の中国の社会階層に関する研究成果について中国社会科学院で特別講演を行い、出席した人の数の多いことは予想をはるかに上回るものであり、上は大機構の管理者から下は普通の労働者に至るまで、いずれも「社会階層」という概念の提起とその画定に極めて大きな興味を示した。陸教授によると、この十の階層は基本的に当面の中国のすべての人々を含むものであり、誰もが自分と対応した階層を探し当てることができる、ということである。他方、ある人が属する社会階層は変わらないものではなく、現代化した社会構造は流動的で、開放的なものであり、こうした階層間の移動はほかでもなく競争を促し、社会の活力を呼び起こすエネルギーの一種であるのだ。

 「チャイナネット」 2002年1月18日