唐家セン外交部長、3月6日の記者会見


第9期全人代・全国人民代表大会第4回全体会議が開かれて二日目の3月6日の午後、唐家セン部長が中米関係や中ロ関係、中日関係及び人権問題などについて記者会見した。

この中で、中米関係について唐家セン部長は「中米関係は今、過去を受け継ぎ未来を切り開く重要な時期にある。アメリカのブッシュ新政権が発足して以来、中米両国の最高指導者は対話を絶やさず、両国関係の発展や各分野での交流と協力の推進に積極的な姿勢を示している。中米両国は多くの分野で共通の利益を有しているが、一部の問題では意見の食い違いも存在している。また一部の問題、例えば台湾問題では依然、それが顕著である。しかし、双方が共に努力すれば、特にアメリカ側が『一つの中国』の原則を遵守して中米間の『三つの共同コミュニケ』を踏まえて事を運びさえすれば、中米関係は必ず発展していくだろう」と強調した。

唐家セン部長は「銭其シン副首相が3月18日から24日までアメリカを公式訪問するが、これはブッシュ政権が発足して以来、両国の指導者が行う初めての会談となる。この訪問が両国の相互理解の増進と世界及び地域の平和と安定に寄与するよう期待している」と述べた。

また、アメリカが台湾に先進的兵器を売却することが中米関係にどんな影響を与えるかについて唐家セン部長は「兵器売却は極めて少数の台湾独立を主張する者に誤ったシグナルを送り、その勢いを助長して海峡両岸の情勢を一層悪化させると同時に、中米関係をも損ないかねない」と指摘した上で、この問題がもたらす結果の重大性と危険性を十分認識するようアメリカ政府に求めた。

朝鮮半島情勢、そして朝鮮とアメリカの関係について、唐家セン部長は「朝鮮とアメリアの関係は外部で伝えられているほど緊張しているとは考えない。アメリカを含む朝鮮半島周辺の大国は引き続き朝鮮半島の平和と安定に力を尽くし、各関係方面が朝鮮半島の今後の動きに係わる重要な問題で相反する姿勢を示すことはないと考える」と述べた。

対ロシア関係について、唐家セン部長は「現在、両国関係は良好に発展している。経済、科学技術、軍事技術など多くの分野で良好な交流と協力が行われ、積極的な進展を遂げた。今年も、両国の間ではハイレベルの相互訪問が頻繁に行われるだろう」と述べた。

唐家セン部長は「中ロ関係は同盟の関係ではなく、また第三国或いは第三者に対する関係でもなく、新しい形の正常な国家関係である。双方は共に良き隣人、良き友人になりたいとの強い願望を持っている」と述べた。

人権問題について唐家セン部長は「アメリカが人権問題で二重の基準を採用し、人権問題を政治化し、人権問題を利用して他国の内政に干渉するやり方に中国は断固反対する。人権問題で対立すれば、活路は無い。アメリカ側に対し態度を改め、対話の道にできるだけ早く戻るよう進言したい」と述べた。

また、唐家セン部長は「アメリカはジュネーブでの人権会議で反中国議案を提出すると発表し、同時に多くの国のいわゆる『国別人権報告書』を公表した。アメリカはこの中で百余りの国の名を挙げているが、アメリカ国内の深刻な人権問題については一言も触れていない」と指摘した。

軍事予算を増やしたことについて、唐家セン部長は「これはアメリカの本土ミサイル防衛システムの開発と直接関係はない。中国政府は一貫して軍事の支出を厳格に抑えてきた。今年、軍事予算を増やした原因は第一に、中国国内の経済建設の発展と人民の生活レベルの向上、特に一人当たりの賃金が増大したのに伴い、軍人に対しても同様の増収を確保する必要があること、第二に中国の国防の現代化と軍事体制改革の必要があること、この二つの原因からだ」と説明した。

唐家セン部長は「中国の軍事予算は世界の大国の中で、最も低いレベルにある。アメリカの今年の軍事予算は3054億ドルであるのに対し、中国はその5%に過ぎない。また隣国の日本と比べても、30%しか占めていない」と指摘した。

また中国がイラクで光ファイバーの建設を支援していることを調査するよう、アメリカが求めていることについて唐家セン部長は「中国の関係部門が真剣に調査した結果、中国はイラクで防空用の光ファイバーシステムの設置を支援していないことが判明した」と強調した。

唐家セン部長は「中国政府は従来からイラク問題に関する国連安保理の決議を真剣かつ厳格に履行しており、終始責任ある姿勢を維持してきた。更に中国政府は、如何なる企業や個人も国連安保理のイラク問題に関する決議を厳格に遵守しなければならず、国連の決議に違反する経済貿易活動に従事してはならないと明確に規定し、中国各地の企業に何度も重ねて表明してきた」と述べた。

日本の教科書問題について、唐家セン部長「この問題の実質は、侵略の歴史に正確に対処し、実際行動を持ってアジアの隣国から信頼を得、平和な発展の道を歩めるか否かと言う問題である」と指摘した。

唐家セン部長は「日本の教科書の検定作業は非常に複雑であるが、最終的な検定の責任は、日本政府が負っていることを指摘しなければならないだろう。すなわち教科書の内容が適切かどうか、出版が可能かどうかという決定権は日本政府にある。従って、日本政府は今回の教科書問題を適切に対処する責任と義務を負う。問題を適切に対処することにより、中日関係の政治的基盤が維持される。歴史問題に対する正しい認識は、中日関係の政治的基礎であり、中日共同声明にも明確に記されている。この問題について中国政府と中国人民は注意深く見守っていくつもりである。中国政府は一貫して教科書問題を巡る様々な動向に強い関心を寄せており、外交ルートを通じてこの問題に対する立場を何度も日本側に表明してきたが、日本政府がこの問題を適切に処理するよう希望する」と強調した。