侵略の歴史の改ざんに断固反対する

中日両国の関係をよくご存知の方なら覚えていらっしゃるでしょう。1980年代、両国の間で友好的な雰囲気が育まれているとき、そこに暗い影を投げかける出来事がありました。そうです、1982年に行われた日本の教科書改定の中で、日本のアジア侵略に関する歴史記述が改められたことです。歴史教科書の改定問題は86年にも持ち上がり、北京などでは大学生や市民から怒りと憤りの声が沸き起こりました。それからというもの、歴史認識と歴史教育に関する問題は、両国間の信頼を深める上で重大な障害のひとつになっています。 報道によると、日本では現在、2002年度から用いられる中学校の新教科書に対する検定が進められているといいます。昨年秋には政府から検定に関する通知が出され、各出版社がこの通知に示された精神に沿って教科書の改定を進めた結果、申請された多くの教科書で近現代史の記述内容が大幅に後退したと聞いています。 さる1月15日、中国各地の大学や研究機関で歴史学を研究している教授や学者が北京大学に集まり、日本の歴史教科書問題に関するシンポジウムを開きました。 参加者から、日本では右翼勢力が人心を惑わす一定の力を持っていることが指摘されました。右翼勢力は現在の歴史教科書が自虐的な記述に満ちており、日本人は残忍な民族であるというレッテルを貼るもので、子どもたちから誇りを奪っている、と妄言しているとか。彼らは歴史の真の姿を明らかにし、民族の自尊心を育てなければならない、とも主張しているそうですが、自尊心というものは、みずからの歴史に対する客観的な認識と正しい態度から生まれてくるものです。不名誉な歴史の一ページだからこそ、これを直視し、深く反省する勇気が求められるのです。そうすることで、初めて本当の自尊心、そして他国からの尊敬が得られるのではないでしょうか。 また、教科書は人を導き、育てるための道具です。シンポジウムに参加したある学者は「歪められた歴史教科書で次代の子どもたちを教育することは、歴史の真相を知る権利を彼らから奪うだけでなく、日本という国の向かう先と前途そのものにも影響を与えるだろう」と心配していました。現在、日本の国民の約65パーセントが戦後生まれであり、彼らは日本の軍国主義者が犯した罪についてあまり多くを知りません。次の世代の若者に真相が伝えられず、彼らが正しい歴史観を確立することができなければ、それは将来、大きなつけとなってはね返ってくるでしょう。日本は進むべき道を見誤ってしまうかも知れません。 学者たちはとくに「歴史教科書は若い世代の思想のあり方に密接な影響を及ぼすとともに、日本政府の歴史認識を示すものだ」ということを強調しました。彼らは日本政府が80年代に起きた二度の教科書問題の教訓を生かし、日本の国際的なイメージという観点からも、教科書検定における過ちを正して、歴史本来の姿を取り戻すことを望んでいるのです。

「人民中国」(2001年4月号より)