野生動物の種類で世界最多の国である。陸生脊椎動物だけでも世界全体の9.8％に当たる2000余種あり、なかでも鳥類の占める比率が最も高く、次が獣類である。すでに発見された鳥類は1189種、獣類は500種、両生類は210種、爬虫類は320種にのぼる。陸生脊椎動物には中国特有、あるいは中国に主に生息している動物が多い。キジ科ではコジュケイ、ジュケイ、サンケイ、オナガキジなど19種、獣類では「生きた化石」と言われるジャイアントパンダのほか、動物学の研究で特に意義のあるシフゾウ（四不像）は野生類がすでに絶滅している。このほかターキン、マエガミジカ、梅花鹿などが生息する。資源動物も非常に豊富で、毛皮用の獣類だけでも70余種を数え、全国の獣類の17％以上を占めている。

自然条件が複雑であることから、植物の種類は非常に多く、木本植物だけで3万余種にのぼり、そのうち喬木は2800余種。北半球ほぼ全ての植生の類型が見られ、東部の湿潤地帯には様々な森林が分布している。最北部の寒温帯は落葉針葉樹林帯、南は温帯落葉広葉樹林帯で、なかでも亜熱帯樹林帯が最大であり、一部の地区には中国以外の地域ではすでに絶滅した「生きた化石」林──メタセコイア、カタヤ、銀杏科などが見られる。南部には半常緑の熱帯季節雨林・熱帯雨林、マングローブがあり、またゴムやアブラヤシ、サイザル麻など一部熱帯植物の優良品種が導入されている。中国特有の樹種はメタセコイア、カタヤ、銀杏科のほか、ミルや広葉杉（こうようざん）、イヌカラマツ、台湾杉、福建柏、杜仲などがある。