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日本の政界要人がA級戦犯の罪を否定する言論の陰にあるものは

世界反ファシズム戦争及び中国人民の抗日戦争勝利60周年を迎えるこの時期に、森岡正宏日本厚生労働省政務官と久間章生自民党総務会長は5月26日、27日に相次いで談話を発表し、「A級戦犯は日本国内ではもう罪人ではない」、極東国際軍事裁判は「反平和罪と反人道罪をもってほしいままに一方的に裁判したものだ」と主張した。これらの言論は、日本の国家発展の方向と中日関係の発展において「政治地震」を引き起こすことになった。

日本の戦後の政治と歴史に詳しい人々が周知のように、これらの言論は、グローバル経済における競争力を強化し、国際政治事務に積極的に参与することによって「大国主義」の夢を実現しようとする自民党が主導する新世紀における国家戦略発展の必要を背景とするものである。日本の国家戦略転換の歴史を顧みると、1983年に中曽根康弘氏は政治大国を目指し、「戦後政治総決算」を提出した。90年代に入ると、小沢一郎氏が「敗戦国」の陰から完全に脱出しようとする「普通国家論」を提出し、外交面におけるさらに多くの自主性を主張し、安全分野で、自衛隊の海外派遣、集団的自衛権の行使など、他の国と同じようにその役割を果たすことを主張した。現在、小泉純一郎氏はこの立国の理念を受け継いだだけでなく、政治の実践の中で新たな発展を図っているのである。

これを見ても分かるように、自民党のいわゆる「政治エリート」たちが引き続き狂気じみた政治言論を吐いたのは孤立した、偶然のことではないのである。20世紀80年代中期から、日本のナショナリストおよび右翼勢力の歴史を裏切る行為・言論に伴って、1988年に竹下内閣の奥野誠亮・国土庁長官が「第二次世界大戦では、日本は中国を侵略する意図はなかった」という間違った言論を発表し、国内外の世論の批判を浴びて辞職を余儀なくされた。20世紀90年代以降、日本の一部の政治家や極端な右翼勢力は極東国際軍事法廷の審判を日本の「政治大国」、「正常な国」という目標の実現の障害と見なし、極東国際軍事法廷を以前にもましてあしざまに攻撃し、否定し、極東国際軍事法廷に対する否定を政治、思想、学術、教育、文化などの諸分野に広げた。右翼勢力が企画・制作した映画『プライド』には、アジアひいては世界の人民の血で手を染めた東条英機がなんと日本民族の尊厳を具現する英雄として描かれ、靖国神社で合祀されているA級戦犯の名誉回復のために鳴り物入りで取り組んだ。

それでは、今日、戦犯の犯した罪をくつがえそうとしている政治人物はいったい何者であろうか。65歳の久間章生氏はかつて自民党の副幹事長、防衛庁長官などの要職をつとめ、任期中には『新日米防衛協力指針』や沖縄駐在米軍基地の整備などで重要な役割を果たしたが、「歴史を反省し、中国との関係の発展を重視する」と表明したこともある。久間章生氏の今回の言論は自民党の主流政治家の歴史問題に対処する態度が不明瞭からずばりと言ってのけることに変わったことを示している。62歳の森岡正宏氏は前述の奥野誠亮氏の政治秘書として、20年間も奥野誠亮氏の政治主張をたたき込まれてきた。そのため、今回の言論は「師から弟子への伝授」ともいえる。2000年に森岡氏は自民党の推薦で衆議院の議員に当選し、翌年、自民党の副幹事長となった。「さんぜんと輝く政治の新星」といわれた同氏はもともと「日本の前途・歴史教育を考える議員会」のメンバーであり、自民党の中で台湾の「独立勢力」とぐるになっている「日華議員連盟」のやり手でもある。2005年の3月から5月にかけて、同氏は右翼団体である「日本青年社」のリーダーを国会の会議に招き、「新歴史教科書編纂会」の主要メンバーと何度も会見しているので、森岡氏は右翼勢力のために代弁者となっているともいえよう。

森岡氏と久間氏らは自らの戦犯観を日本の一般の人々に押しつけようとしている。彼らが一方で自らのねじ曲がった犯罪の基準を、「日本国内における」一般の人々の見方にすり替え、まるで彼らこそが民意を代表しているかのようである。他方、A級戦犯が「日本国内ではもはや罪人ではない」と公言し、日本では世界的な常識と完全に異なった判断基準があると声高に語っている。実際は、東条英機をはじめとするA級戦犯たちが残虐極まりない犯罪を犯した歴史の罪人であることは、すでに国際社会及び日本社会では常識となっている。森岡氏らが世界の常識と大きく異なる言い方をまき散らすねらいは、日本社会の世論をミスリードすることにあり、本来、是非曲直・正義への判断ができない人たちの過去の戦争に対する認識をさらに混乱させ、それによって日本が徹底的に「戦後の時代」と別れを告げ、大手を振って大国主義の道に突き進むようにすることにある。

このほか、戦争犯罪者を美化する言論が再度世間の人々の注意を喚起しており、これらの戦犯の代弁者たちの心の奥深い所ではいまだに「大東亜」のかつて見た夢の復活と新に世界大国になることに夢中になっている複雑な気持ちの現われでもある。日本の右翼勢力の目の中では、両手が罪のない民衆の血で染まったA級戦犯たちは確かに「日本民族の英雄」と言えよう。これこそ、彼らが繰り返し戦犯たちに弁護する理由である。極東国際軍事裁判を否定することは、彼らの課題を達成するため現段階の仕事に過ぎず、大国主義のソフト覇権の実現こそ、自民党政権の究極の戦略目標なのである。これによって、最近の小泉首相の靖国神社参拝への弁解の真意を容易に見破ることができる。「すべての国が戦没者を追悼しており、どのような追悼の仕方を選択するかは他国が干渉すべきものではなく、靖国神社参拝とA級戦犯の犯罪とは関係がない」という言い逃れは、森岡氏らとの一種の暗黙の了解であり、含みのある表現に過ぎない。

むしろ中国共産党反対、中国敵視、親米及び極端な民族保守主義の政治理念で知られる石原慎太郎東京都知事の言い方の方が直接で分かりやすい。最近石原氏はまた「南京大虐殺はでっち上げである」と是非曲直を転倒させながら、「東京大空襲が10万人の命を奪ったが、これこそ大虐殺である」とわめき立てている。彼のねらいは戦争が日本の民衆にも災禍をもたらしたということで、戦争を引き起こした日本を被害者に仕立て上げ、戦犯たちの罪をあいまいにしようとすることにある。歴史に直視するいかなる人々も知っているように、軍国主義の戦争犯罪者こそ、日本に災禍をもたらし、人民を侵略戦争の犠牲にしたものであり、筆紙に尽くしがたい罪を犯したA級戦犯こそ、人民を殺りくした大悪人である。戦争の中での加害国と被害国の損失について、ドイツのシュレーダー首相はかつて、「歴史を正しく理解するには、罪悪と災禍をいっしょくたにして加算してはいけない」と深刻な反省の意を表明し、善悪をはっきりさせるという誠意ある姿勢を示したことがある。それに照らし合わせてみると、日本の政界要人の面構えはいかに醜悪なものか。

(作者 中国社会科学院日本研究所研究員 高洪)

「チャイナネット」2005/06/03

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